矯正施術は歪みを増幅する可能性がある(O脚矯正・顎の矯正・骨盤矯正)
矯正施術の習慣化で、矯正方向と逆方向への引っ張りが体に生じることがあります。
結果的に、矯正の目的方向と逆の結果が体に定着してしまう場合があります。
これは体の防御反応によるもので、だれにも起きうることです。
当院では、体の防御反応が起きやすいマッサージやストレッチやアジャストなどの刺激を用いない整体を行います。
自律神経が筋膜にかけている緊張だけを解放させる施術で見えてきた、矯正施術との付き合い方、気を付けることについてまとめています。
O脚矯正施術の習慣化でガニ股ぎみになっていた女性
まず、O脚についてですが、よくネットのPRで見られるのは、立位で膝に隙間があるかどうか?を指標としてみられていることが多いと感じています。
静止状態の膝の隙間だけを指標にしていると、歩く時にガニ股ぎみに膝が外に開いていても、それに気づかない場合があります。
ここでは、足踏みで膝がどのような軌道を描くかを動画で確認しています。
アゴの不調でご来院されたお客様。気になるところとしてO脚をご記入いただいていましたので、ビデオで経過を記録していたものです。
初回施術のビフォーアフター動画
O脚改善 初回施術のビフォアーアフター(←上の動画が見にくい場合こちらをタップ)
初回のご来院時の状態
初回の状態では、足を上げるときにガニ股ぎみに膝が外に開く傾向が確認できました。
特に右膝が外方向に開きながら上がっています。
初回の施術後
からだ全体に溜まった緊張に対して自然な解放を促していくと、膝が外に開こうとする動きが消えました。
お客様からのリクエストがあった
お客様と一緒に動画を確認していると、
「こんなはずがない!」と、物言いがつきました。
「今までずっとO脚矯正を続けているから、最初の状態は納得できない」
施術前の脚の動きが納得いかないみたいですが、
ずっと矯正を受けてきたことと、ストレスで付帯した緊張が多かったことから、施術前の状態は起きて然るべきなのです。
「次は、矯正直後に予約を取らせてください」
とのことで、今まで行ってられた他院の施術の後にすぐにお越しくださることになりました。
2回目施術のビフォーアフター動画
O脚改善 2回目施術のビフォアーアフター(←上の動画が見にくい場合こちらをタップ)
2回目ご来院時の状態
他院のO脚矯正を受けた直後にご来院。
不自然に膝が内向いています。
2回目の施術後
初回と同じく、体に全体に溜まった緊張に対して自然な解放を促していきます。
不要な刺激で起きる防御反応による緊張も減らしていきます。
矯正直後なので、すべての不要な緊張が取りきれるわけではありませんが、本来の動きである膝が真っ直ぐ上がる方向に戻りました。
3回目施術のビフォーアフター動画
O脚改善 3回目施術のビフォアーアフター(←上の動画が見にくい場合こちらをタップ)
3回目ご来院時の状態
動画で見る膝の動きの平均は、前回の施術後を維持している感があります。
真っ直ぐ方向に膝が上がっています。
3回目の施術後
3回の施術で、全体の付帯した緊張はかなり減ってくるので、動画の動きでは、初回と比べて下半身全体が絞られてきた感じを受けます。
O脚矯正施術の習慣化でガニ股ぎみになっていた女性 まとめ
マッサージやストレッチなどを使わずに、体に溜まった緊張を減らす施術で、からだは本来の状態を取り戻していきます。
施術で感じたのは、緊張が体にたくさん溜まった状態への矯正で、体の防御反応が顕著に出たと思われます。
- ご来院時の確認でガニ股ぎみに足が上がっていた
- 溜まった緊張が減ると真っ直ぐに足が上がるようになった
矯正で得られる結果は持続しにくいことは、2回目のその場で起きた変化から明確と思います。
影響を受ける度合いは個人差がありますが、今回は、矯正目的と逆の結果が定着していたとことが確認できます。
体に溜まった緊張を少なくした後の矯正であれば、弊害は少ない可能性があります。
矯正行為や刺激によって体に何が起きているのか?
刺激に対する防御反応
刺激に対して体は、その箇所を守ろうと緊張を入れてきます。
つまり、刺激箇所が硬くなったり縮まったりが起きます。
2013/2/19放映 カスペ『間違いだらけの健康ジョーシキ』より抜粋【肩こりは揉んでも治らない】東京女子医科大学東医療センター 神戸克明先生(整形外科医)
肩を叩いた直後は肩の硬さの数値が下がっていますが、徐々に硬さが増してきて、1時間30分くらいに硬さのピークを迎えています。
左肩:35⇒46
右肩:30⇒38
時間差があるので、叩いた結果硬くなったことに気づきにくいと思われます。
ストレッチ的な筋膜を伸ばす行為も注意が必要
普段、不調を感じない方(緊張があまり溜まっていない方)は問題ないのですが、緊張が溜まっている方は伸ばされたことに反発して縮めてきます。
緊張とは、ストレスで自律神経が筋膜(筋肉・内臓系)にかけてくる緊張です。
自律神経系(脳)が理由があって入れている緊張が溜まっているわけで、緊張が入った箇所を無理に伸ばしても自律神経系(脳)は元の状態に戻そうと縮めてきます。
これは上記『肩たたき』に対する防御反応と同じで、実際には元の状態より縮めてくる傾向があるので、目的と反対方向に悪化していく場合があるのです。
強い押圧(アジャスト)行為に注意
バキッと瞬間的に関節に強い圧力を加える行為をアジャストと呼んでいましたが、これは防御反応による緊張が即座にかかる傾向があることが分かっています。
緊張が加わることで、一時的に形態の変化が起きたり、痛みがぼやけたり緩和した感じを受ける場合があります。
しかし、真の原因にはアプローチできていないことと、結果的に防御反応による不要な緊張が増えることになるので、繰り返していると、いつかは緊張の蓄積に対して体が許容できなくなることがわかっています。
次の事例が更にわかりやすい弊害事例になります。
防御反応による緊張が許容範囲を超えすぎて、歪みだけでなく、「からだの力が抜けない」状態に陥ってご来院。
骨盤矯正・顎の矯正で全身のねじれ(歪み)が増していった事例
「顎の関節に矯正を入れてもらったら、その日は真っ直ぐになるけど、次の日には戻っている。顎関節症専門歯科でマウスピースを使った治療もしましたが、変化ありませんでした。からだの力が抜けない、力抜くことが分からなくなっているんです。」
30代女性
歪みがひどく、ねじれが全身に及んでしまっています。付帯する緊張量が多いので、からだの力が抜けなくなっている状態。
この方の施術では、やはり防御反応による緊張が多い施術でした。
初回施術前の顎の歪みと体のねじれ
不自然な歪みを上図から感じられると思います。
合っていない施術、自律神経が嫌がる刺激に対して防御反応が働きます。
つまり、脳が矯正と反対方向に縮める方向に、後から力をかけてきます。
その場では変化するので「正しい」と思って2年間続けられたみたいですが、体の守ろうとする機能(防御反応)が正常なので、刺激に反応して矯正と反対方向にどんどんねじれていったわけです。
緊張の解放を促す施術での改善経過動画
口のゆがみと体のゆがみ 顎関節症の整体 | 岡山市・整体院ほぐし庵(←上の動画が見にくい場合こちらをタップ)
防御反応による緊張やストレスによりかかっている緊張に対して、自然な解放を促す手法で溜まった緊張が減るに比例して本来の状態を取り戻していきました。
- 押す・揉む・ストレッチ・強い押圧 など刺激を入れなくても体は整う
- 刺激に対する体の防御反応で目的と反対の結果を得てしまう場合がある
骨盤矯正は産後に必要でしょ? 本来の骨盤調整とは
院でよく質問されるのが、
「骨盤矯正は産後に必要でしょ?」
という質問。
骨盤調整は必要です。矯正は必要ありません。
骨盤調整とは、骨盤周囲の筋肉バランスを整えることです。力で矯正しなくても骨盤周囲は整います。
さらには、『 整体 』に骨盤調整は既に含まれているもので、骨盤だけをとらまえた施術は全く意味のないものなのです。
体全体が連動し合うので、全身整体を行わないと骨盤周りのバランスは整わないということです。
「骨盤がゆがむ」とか「骨盤がひらく」とかのイメージが蔓延していますが、実際はどうなのか?医師の見解の紹介と整体的見地での説明をしていきます。
「骨盤がゆがむ」について実際はどうなのか?医師の見解
カラダノキモチ(2011/5/22放送)『実はゆがまない?!骨盤メンテナンス大作戦』という番組で、医学博士 船山敦 先生がおっしゃってられた内容が分かりやすいので引用しながら説明します。
骨盤はゆがまない
骨盤はなぜゆがまない?
骨盤自体は、仙腸関節と恥骨接合の3点で強靭な靱帯で箱型につながっているからです。
出産の時は、恥骨結合が約1cmほど開くだけで、出産後はすぐ戻るらしいです。
骨盤がゆがんで見える現象について
下の図は、前腸骨棘(体表面から触ることでわかる骨盤の飛び出し)の位置にシールを貼って骨盤の高さを確認しています。
カラダノキモチ(2011/5/22放送)実はゆがまない?!骨盤メンテナンス大作戦
骨盤がゆがんで見えますよね。
船山敦 先生曰く、これは、骨盤がゆがんでいるのではなくて、傾いている状態と説明しています。
レントゲンで骨盤の状態を撮って証明してくれています。
立位での骨盤のレントゲン写真
カラダノキモチ(2011/5/22放送)実はゆがまない?!骨盤メンテナンス大作戦
骨盤はゆがまず、横に傾いているだけです。
寝た状態での骨盤のレントゲン写真
カラダノキモチ(2011/5/22放送)実はゆがまない?!骨盤メンテナンス大作戦
寝ているときは立位方向の負荷がかからないので、筋肉の収縮が解放されて本来の位置の水平に戻っています。
立位も寝た状態も、骨盤自体にゆがみは見られません。
骨盤周囲の筋肉のバランスで『骨盤の横の傾き』が起きてゆがんで見えているだけ
「骨盤がひらく」について実際はどうなのか?整体的見地で説明
下図に、骨盤の前後の傾きによる腰回りの見え方を図解しています。
骨盤周囲の筋肉のバランスで『骨盤の後ろの傾き』が起きて腰回りがひらいて見えているだけ
骨盤自体が歪んだり開いたりしていないことを認識することが大切です。
骨盤ベルトが意味があるか?ないか?についても結論が見えてくると思います。
本来の骨盤調整とは
上記解説からご理解いただけると思います。
骨盤周囲の筋肉バランスを整えること
注意点として、
- 防御反応を避けるため矯正施術をしないこと
- からだ全体の連動現象を理解した施術をおこなうこと
が大切になります。
つまり、『骨盤矯正メニュー』などを通常の整体メニュー以外に設けている院では、からだの連動現象という概念を持ち合わせていない可能性があります。
からだの連動現象について補足
一つの事例をご紹介します。
美容師さんのカット時の右手首の痛み
「3年前から、カットの細かい動きで右手首に痛みを感じています」
50代男性
【痛みの要因リレーション】
右手首 ⇔ 左股関節 ⇔ 下腹部内部の筋膜 このような連動が整体チェック法でわかりました。
実際に左股関節の可動域は右より狭くなっていました。
緊張に対して自然な解放を促し減らして、緊張連動を無くしていくと、その場で右手首の違和感がなくなり、お仕事に戻っても以前のような痛みは出なくなりました。
上図のように人の体は筋膜のボディスーツを着ているような状態。
緊張が溜まった箇所と筋膜を通じた連動現象が起きます。
筋膜に溜まった緊張の引き合いが、 右手首 ⇔ 左股関節 ⇔ 下腹部内部の筋膜 となって手首の痛みにつながっていたのです。
このように体全体で影響し合っていて、骨盤周囲の筋肉バランスも同様なのです。
つまり、
骨盤調整=全身整体
なのです。
矯正は害なのか?矯正施術との付き合い方
順応姿勢の改善には効果が出る場合がある
からだを本来の状態に戻すことが整体で、体に溜まった緊張を解放することで筋肉が自由になり、不調・可動域・姿勢・機能パフォーマンスが本来の状態に近づいていきます。(病院で異常ないことが前提です)
しかし、緊張を減らしても変化しにくいものもあります。
『順応姿勢』など、日常の環境に順応してしまった体の形態です。
たとえば、勉強中心の生活では猫背になりやすい。
猫背のほうが勉強に向いている有利な姿勢なので、脳はその姿勢を選びやすくなります。
猫背は勉強スタイルに順応した姿勢と言えます。
他には、
- 農作業を生業にしてかがむ姿勢が多い方は腰が曲がりやすい
- ヒールを履くことが多い方は外反母趾になりやすい
- ボルダリング選手に指の第一関節が伸びなくなっている方がいる
など、環境や作業に有利になるように、順応によって起きた形態の変化は緊張の解放では対処できない場合があります。
上記など、矯正施術を施しても無理なものもあるかもしれませんが、姿勢の矯正であれば、こまめに施すことと、常に姿勢に意識を向けることで改善の可能性があると考えております。
再度、矯正施術を受ける際の注意点を確認しておきます。
体に緊張が溜まっている状態で矯正施術を受けると防御反応の影響が残りやすい
このページであげた動画事例にあるように、緊張が溜まっている方は矯正施術を受けないほうがよいですし、そもそも必要なのかどうか?についてもこのページから気づいていただけたらと思います。
岡山市・整体院 ほぐし庵
Address : 岡山市南区築港新町2丁目11-10