考えすぎを意識して減らせば痛みが減る(ストレス痛とその対策)

「何もしてないのに急に痛みが...」

このような経験ありませんか?

病院で異常が見られないのに出ている不調は、ストレスにより自律神経が乱れて筋膜にかかる緊張が溜まることで起きています。

緊張が溜まって不調に至り緊張を減らすと不調が改善するイメージ図
緊張が溜まって不調に至り緊張を減らすと不調が改善するイメージ図

不調を持つ大半の方は、からだに溜まった緊張は過去のストレスが生んだ古い緊張であることが多く、施術でそれらを減らせばそれに比例した変化がその場で起きます。

しかし、中には、現在進行形のストレスによる緊張が多く関わって不調が出ているケースがあります。

その場合、今向き合っているストレスですから、ヒアリングを深めることで緊張を解くきっかけをつかめる場合もありますが、現在進行形のストレス自体を解決しないと不調から解放されない場合もあります。

ここでは、現在進行形のストレスが多くかかわって出る痛みを『 ストレス痛 』と区別し、施術実績から見えてきた考えすぎとの関係性とセルフケアについて考察していきます。

「手術をしても治らない患者さんがいたから」と、脳に着目した治療をおこなっている福島県立医科大学病院の整形外科の書籍も一部引用させていただいて、ストレス痛に悩む方への改善のきっかけになるページになればと思います。

ストレスを高めて脳に負担をかけてしまう行為

ストレス痛に特に関係しやすい行為2点をピックアップします。

マインドワンダリング

NHKスペシャルでキラーストレスという番組をやっていましたが、ストレスが脳にダメージを与える思考の仕方の一つに、『マインドワンダリング』があります。

心の迷走という意味で、目の前の現実にだけ向き合っていたら問題ないのですが、過去や未来について考えを巡らせてしまうことがストレスとして脳に負担をかけている

マインドワンダリングの例

上司に怒られたことを思い出す(過去)→ また怒られるんじゃないかと想像する(未来)

何かしながらでも、ふと、過去の嫌なことを思い出して、将来に対して不安になるという思考を繰り返している。

これは、記憶力や想像力を与えられた人間だけがおこなっている思考回路で、ストレスの影響を増やす大きな要因になっています。

当院の施術を通じて感じる、ストレス痛につながりやすい思考の種類は、

  • 責任感的思考
  • 感情の抑圧
  • 不安思考
  • 不満思考

で、後に事例も掲載していますが、マインドワンダリングにより影響がでてくるのです。

デジタル機器の使用が増え脳過労に

デジタル機器の影響を『 脳過労 』という表現で、奥村歩医師が説明されています。

スマホで脳過労に至る原理は、

1.スマホは、光の情報が入ってきて情報量が多い

2.膨大な情報が脳に入り続けることで、整理整頓が間に合わず脳内がゴミ屋敷のようになってしまう

3.ゴミ屋敷状態なので、情報が取り出せず、物忘れや会話ができないなどの症状が現れる

らしく、軽い物忘れから始まり、集中力や意欲が低下・不眠・めまい・肩こり・人と話すことが苦痛など、脳の情報処理能力が低下するだけでなくて、心身のバランスも崩してしまうらしいです。

特に危険なこととして、テレビを見ながらスマホをするなど2つ以上のことを同時におこなうことをデジタルマルチタスクと言うらしいですが、脳へのストレスが大きく神経細胞にダメージを与えるらしいです。

  • デジタル機器の光と情報量
  • デジタルマルチタスク

ストレス痛を生みやすいストレスとその事例

事例のほうがわかりやすいですね。

「こんなことで強い痛みに?」と思われると思います。

どういう思考が自律神経(脳)に影響を与えているのかがわかると、普段から気を付けることもできます。事例の後に対策法も掲載します。

当院でおこなう整体は、『 不調は脳が(自律神経が)起こしている 』ことに着目した技術で、からだに溜まった緊張を減らしていく整体です。

マッサージやストレッチで状態をごまかす手法は使いません。

整体チェック法という自律神経が起こす筋反射を利用して、解放すべき緊張の特定をおこない、特定した緊張に対して自然な解放を促していきます。

緊張が減るに比例した変化をその場で確認できます。

当院の3事例と、福島県立医科大学病院の整形外科の書籍から2事例あげます。

感情の抑圧ストレスの事例

尾てい骨の激痛 40代男性

からだの状態

「尾てい骨が痛いんです」

一昨日の夜、急に痛みが出て、次の日、病院で異常無くご来院。

「カラダを動かすときに激痛がします」

じっとしている時は良いのですが、動こうとすると顔が歪み動作が止まります。

施術

ある程度緊張を減らしても変化が乏しく、特定の事象がダイレクトに関わってでているストレス痛ではないかと判断。

特定の事象をヒアリングで明らかにしていきます。

何かストレス、たとえば、いつまでに何かをしないといけないとか、悩みとかだけでなく些細なことも含めて何かありませんか?

「何もない。」

「ストレスなし。仕事も家庭も。」

一昨日、痛みが出る前に何かなかったですか?

「ない!」

「ん...ギャンブルとかも関係するの?」

「ならパチンコかなあ?でも、ストレス解消じゃからなあ。」

整体チェック法に反応が少し出ました。

解放して確認。

「痛い!けど、少し変わったか?」

「その日は、〇万円持っていかれた日じゃ。」

「でも、トータルで考えるようにしとるから、気にしてないから、ストレスじゃないじゃろ

整体チェック法がグンと反応しました。

これですね。

3度に分けてストレス系の緊張解放手法を試すと、

「あれ?ええよ。」

座っても立っても激痛がおきん。」

考察

客観的には、「パチンコで痛み?」と感じるかもしれません。

ご本人が傾倒していることであればその種類は関係ないです。

今回、

「でも、トータルで考えるようにしとるから、気にしてないから、ストレスじゃないじゃろ」

これは、悔しいから出ている言葉ですよね。

日々、勝ち負けを記録して、コンスタントに勝っていたがために、今回の損失が悔しくてたまらない。

しかし、トータルで勝っているんだから悔しがらなくていいんだ。

と、『 感情を抑圧 』してしまったために出た痛みと考えられます。

パチンコ台に向き合っている状態は、電飾など目から入る情報量が多いですから、『 脳過労 』の影響もあったと考えられます。

尾てい骨に異常があって出ている痛みではなくて、パチンコを阻む位置として、脳が尾てい骨を痛みを出す位置として選んだのではないでしょうか。

責任感ストレスの事例

急に出た 肩の強い痛み 30代女性

からだの状態

「左肩が急に痛くなって」

「強い痛みなんです」

最初は腰痛でお越しくださり、今はメンテナンス間隔のお客様。

めずらしく肩の痛みで、仕事を抜け出してご来院いただけました。

施術

ある程度緊張を減らしても変化が乏しく、いつもの緊張の蓄積ではなく、特定の事象がダイレクトに関わってでているストレス痛ではないかと判断。

特定の事象をヒアリングで明らかにしていきます。

痛みが出る前とかに、いつもと違うことありませんでしたか?

「特にないです」

「いつも通り」

「でも、今日は、明日の会議でてんてこ舞いしてますけどね」

この言葉に整体チェック法が反応しました。

この事象に関して、ストレス系の緊張解放手法を試すと、

「あれ?痛みがないです!」

「明日の会議って、いつもの会議なんですよ」

「でも、今回は私が取り仕切っているんです

考察

今回は私が取り仕切っているということは、『 責任感 』という意味ではいつもと違う状態です。

落ち度が無いようにしなければ、無事に終わらせたい...。

頭に常に意識していて、マインドワンダリングも繰り返してしまうし、書類の作成など脳過労も起こしている可能性があります。

痛みは脳が発しています。このような状況では、脳はストレスになっている作業をやめさせる位置に痛みをかけてくるので、今回は肩の位置に痛みが出たのかもしれません。

不安ストレスの事例

急に出た 腰の強い痛み 40代女性

からだの状態

「腰が急に痛くなって」

元々は肩こりで来られていたお客様。

今はメンテナンス間隔で大きな不調は無い状態でしたが、急な腰の痛みでご来院。

施術

整体チェック法で施術ポイントを探ろうとしても、筋反射反応が起きない、緊張が入りっぱなしで完全に拒否反応が起きています。

特定の事象がダイレクトに関わってでているストレス痛ではないかと判断。

何かいつもと違うことなかったですか?

「父が昨日、脳溢血で倒れて」

「今、集中治療室に入っているんです」

この事象に整体チェック法が反応するので、ストレス系の緊張解放手法を試しましたが、

まだ痛いです

やはり、事象が事象だけに、最初の拒否反応どおりでした。

痛みが消えない理屈を説明して、お帰りいただきました。

後日、お電話で、

父が退院したら痛みがすっと抜けました

考察

今回のような状況では、『 不安ストレス 』はかなり強くかかっていると思われます。

この痛みに対する理屈としては、

  1. 不安で考えすぎ
  2. 脳が極度の疲労状態に陥る
  3. 脳が自己防衛として痛みを発する

強い痛みをどこかに出すことで、そちらのほうに意識が向いてくれるのではないか? それによって考えすぎが減るのではないか? と、脳が判断をして痛みを出していると考えています。

脳の自己防衛 』と解釈しています。

実際に、お父様が退院したら痛みが抜けました。(後日、お電話でご連絡いただけました)

デジタル機器による脳過労

3か月前から親指の付け根の痛み 寝起きなのにスマホで目の疲労感と頭痛 17日前からめまいや動悸 40代女性

からだの状態

「寝起きなのに、スマホをするとコメカミに頭痛が出るし、目の疲れがきついんです。」

「右の親指も3ヶ月前から痛くて、右の肩甲骨と肘から先も痛いです。」

「17日前は、めまいが出て、くーっと胸を締め付けられる様な動悸も出て、病院で注射を打って一旦引いたんですけど、2日前も、血圧下がった感じでキューッと胸が締め付けられて。」

「やなことを思い出すと苦しくなるんです。」

朝、起きてスマホを触ると、すぐに目にくるらしいです。

動きの確認では、

挙上で右肩甲骨の痛み、後屈で腰に痛み、鉛筆を持つと親指付け根に痛み。

目の上奥に痛みが有ります。

施術

ストレスの影響が主で、緊張の量が多いです。

緊張連動や部位の緊張等を解放させてチェック法の反応が落ち着いたところで確認。

「すごい!頭がふわーっと楽な感じになってきました。」

緊張が溜まって、頭がかなり重い状態になっていたのでしょう。緊張が抜けて元の状態を再認識されています。

「肩甲骨さっきより楽です。」

「目の痛み取れてる。」

「腰は重たい感じが残っていますけどさっきより楽です。」

「親指もさっきより良いです。」

緊張の蓄積量は多いですが、素直に取れていきます。

数回、確認と調整を繰り返し、最終、

親指の付け根の痛みOK、右肩甲骨の痛みは消えて右肩に少し痛みが出て残る、腰痛OK、目の辛さOKで終了。

(2回目施術 3日後)

「あれからは、めまいも動悸も起こってないんです。」

「親指もかなり取れました。」

「右肩はまだ少し残ったままです。」

「目も楽で、スマホ使っても大丈夫でした。でも、またならないように、必要最小限にとどめています。」

今回、お辛さ全て無くなり終了。

次は4週間後のメンテで大丈夫だと思います。

考察

今回、ストレスが主に影響していましたが、

  • 身内の心配事
  • スマートフォンのし過ぎ

今回はこの2点がキーになりました。

施術経過から、スマホの影響が7割を占めていたと感じます。

これを、意外と思われる方もおられるかもしれませんが、夢中になっているのでストレスとして感じにくいだけで、脳や自律神経の疲労という意味ではかなり影響があると、他の方の施術からも感じるところです。

奥村歩医師の言われる脳過労状態と思われます。

自律神経に着目した整体としての解釈は、

  • 責任感ストレス(メールなど早く返さなければ、など。)
  • 目に入る活字や光のストレス

それにより、脳が疲労するのでそれを止めさせようと、脳がいろいろな箇所に緊張を入れて制限をかけたり、痛みを出してスマホ操作を止めさせようとしていると考えています。

福島県立医科大学病院の整形外科の事例(感情の抑圧)

丹羽 真一 (著), 大谷 晃司 (著), 笠原 諭 (著), 菊地 臣一 (監修)『長引く腰痛は“脳の錯覚”だった 名医が教える最新の腰痛改善・克服法』(朝日新聞出版 2016年)より

まず、事例紹介の前に福島県立医科大学病院の整形外科でされている治療の概要を書籍より紹介します。

「手術をしても治らない患者さんがいたから」と、

かつては ”外科至上主義” の考えで、手術をバリバリこなしていた福島県立医科大学病院の整形外科は、今は脳に着目した治療をおこなっています。(認知行動療法・リエゾン療法)

外科だけでなく、脳にも注目して治療を進めていて、認知行動療法として『 ストレス日記 』を使います。

日記に書き込んだ内容などから、その人の考え方や行動を分析し、必要に応じて修正を図っていくという治療です。

足と腰の痛みで車イスに頼る状態 30代女性 ミカさん

『長引く腰痛は“脳の錯覚”だった 名医が教える最新の腰痛改善・克服法』(朝日新聞出版 2016年)より

からだの状態

10年前、高校生の時に椎間板ヘルニアの手術。

その後も痛みが引かなかったので、病院を10か所変わり効果なし。

8年前に福島県立医科大学病院の整形外科に出会った。

腰と足に強い痛みがあったため歩けず、お父様に車イスを押してもらっての受診だった。

施術

ストレス日記を書いてもらう。

ストレス日記は、リエゾン療法で行っている認知行動療法の一つで、日記に書き込んだ内容などから、その人の考え方や行動を分析し、必要に応じて修正を図っていくという治療です。

丹羽 真一 (著), 大谷 晃司 (著), 笠原 諭 (著), 菊地 臣一 (監修)『長引く腰痛は“脳の錯覚”だった 名医が教える最新の腰痛改善・克服法』(朝日新聞出版 2016年)
医師の判断

ミカさんの腰痛がなかなか改善しなかったのは、自分の思ったことや考えを相手に言えず、ガマンしていたことがストレスになり、腰の痛みにつながったと考えられます。

つまり、「これを言ったら怒られるのではないか」「責められるのではないか」「見捨てられるのではないか」と、相手と衝突することを恐れ、ネガティブに考えて、本当の気持ちを隠してしまった結果、それがストレスになって、からだの痛みにつながったと考えられました。

丹羽 真一 (著), 大谷 晃司 (著), 笠原 諭 (著), 菊地 臣一 (監修)『長引く腰痛は“脳の錯覚”だった 名医が教える最新の腰痛改善・克服法』(朝日新聞出版 2016年)
経過

ミカさん自身の気づき(日記を読み返すことで)

「なぜかわからないけど、問題は腰ではなく、ネガティブに考えすぎてしまうところにありそうだ」とわかってきます。診察の時にもそんな話題が出るようになっていました。

丹羽 真一 (著), 大谷 晃司 (著), 笠原 諭 (著), 菊地 臣一 (監修)『長引く腰痛は“脳の錯覚”だった 名医が教える最新の腰痛改善・克服法』(朝日新聞出版 2016年)

医師の指導により

自分の感情を抑えるのではなく、表現できるようになってくると、それと比例するように腰痛が軽減されていきました。

少し時間がかかったものの、日記をつけたことで、どのような場面で自己主張ができたのか、できなかったのかが明確になり、考え方や行動のクセを改善できたことで、腰の痛みも徐々に解消されていきました。

丹羽 真一 (著), 大谷 晃司 (著), 笠原 諭 (著), 菊地 臣一 (監修)『長引く腰痛は“脳の錯覚”だった 名医が教える最新の腰痛改善・克服法』(朝日新聞出版 2016年)

7年前腰痛発症 激痛で動けなくなる 30代男性 ケンジさん

『長引く腰痛は“脳の錯覚”だった 名医が教える最新の腰痛改善・克服法』(朝日新聞出版 2016年)より

からだの状態

7年前、腰痛発症。日を追うごとにひどくなり仕事にも支障きたし始める。

激痛で起き上がれなくなり整形外科で異常なし、病院を4か所変わり効果なし。

5年前に福島県立医科大学病院の整形外科を受診。

自分が思っていることを率直に言葉にするのが苦手なタイプ。

背景

母子家庭で育ち、兄弟は3人。ケンジさんは次男。

自宅で商売をしていて、高校を卒業してからは家の仕事を手伝いようになります。

経営者は兄。ケンジさんだけ長時間労働。給料もほとんど支払われていなかった。

人のよいケンジさんは、人からの頼みごとが断れません。不満に思っても、なかなか口に出せません。

そんな彼の性格を知っていた兄や弟は、小さいころから何かにつけてケンジさんに用事を言いつけていたようです。

施術

ストレス日記を書いてもらう。

ストレス日記は、リエゾン療法で行っている認知行動療法の一つで、日記に書き込んだ内容などから、その人の考え方や行動を分析し、必要に応じて修正を図っていくという治療です。

丹羽 真一 (著), 大谷 晃司 (著), 笠原 諭 (著), 菊地 臣一 (監修)『長引く腰痛は“脳の錯覚”だった 名医が教える最新の腰痛改善・克服法』(朝日新聞出版 2016年)
医師の判断

人のよいケンジさんは兄や弟に命じられるまま、過度な労働を低賃金で強制されていて、そのストレスが知らず知らずのうちにからだをむしばみ、腰の痛みとして現れたのです

自分の感情を過剰に抑えていたことが、腰の痛みにつながっていきました。

丹羽 真一 (著), 大谷 晃司 (著), 笠原 諭 (著), 菊地 臣一 (監修)『長引く腰痛は“脳の錯覚”だった 名医が教える最新の腰痛改善・克服法』(朝日新聞出版 2016年)

もう一つの側面。

腰痛を患ったケンジさんは、当然のことながら、今までのように仕事ができなくなります。それは本人にとって「とても困ったこと」(デメリット)である一方で、気づかないうちにメリットにもなっていました。

つまり、「仕事の負担を減らしてほしい」と兄弟に直接言えなくても、「腰が痛いから」と言えば、家族に責められることなく、仕事の負担を減らすことができたのです。

実は、意識する、しないにかかわらず、そういう環境の変化が生じると、脳が痛みを長引かせやすいことがわかっています。

「痛いから、仕事ができない」「痛いから、わがままを聞いてほしい」というように、痛みが「コミュニケーションの手段」となってしまうことがあるのです。

丹羽 真一 (著), 大谷 晃司 (著), 笠原 諭 (著), 菊地 臣一 (監修)『長引く腰痛は“脳の錯覚”だった 名医が教える最新の腰痛改善・克服法』(朝日新聞出版 2016年)

経過

少しずつ自分の考えや意見を伝えられるようにすることから始めました。

給料についてのささいないざこざから、ケンジさんは家業の手伝いを辞めて工場に転職することになった。

これが結果的に慢性腰痛の克服にプラスの要因にはたらきました。

丹羽 真一 (著), 大谷 晃司 (著), 笠原 諭 (著), 菊地 臣一 (監修)『長引く腰痛は“脳の錯覚”だった 名医が教える最新の腰痛改善・克服法』(朝日新聞出版 2016年)

新しい職場に移っても、日記を読み返して新しい課題にチャレンジする作業は続きます。

「仲のよい同僚をつくる」「仕事帰りに同僚とお酒を飲みにいく」「同僚に不満をグチってみる」...

丹羽 真一 (著), 大谷 晃司 (著), 笠原 諭 (著), 菊地 臣一 (監修)『長引く腰痛は“脳の錯覚”だった 名医が教える最新の腰痛改善・克服法』(朝日新聞出版 2016年)

「はじめは、仕事のグチをいうのも、”バカにされるんじゃないか”とか”笑われるんじゃないか”という気持ちが働いて、なかなか言い出せなかった。でも、話してみるとみんな共感してくれて、”仕事が大変なら手伝うよ”って言ってくれるんですね」

こう私に打ち明けたケンジさん。職場を変えたあと、腰の痛みもほとんど気にならなくなったといいます。

丹羽 真一 (著), 大谷 晃司 (著), 笠原 諭 (著), 菊地 臣一 (監修)『長引く腰痛は“脳の錯覚”だった 名医が教える最新の腰痛改善・克服法』(朝日新聞出版 2016年)

事例考察

思考や心理的な要素が不調と関わっていること、つまり、それによるストレスと自律神経の仕組みによって不調が発生していることが、事例からわかっていただけたと思います。

不調を負荷や筋肉のせいにされる医師や整体パフォーマーが多いですが、私の16年にわたる整体師経験からは、病院で異常が見られない不調の95%以上がこのメカニズムやこれらストレスによる緊張の蓄積によっておきていると考えています。

痛みが「コミュニケーションの手段」となってしまう事例は、当院では、お子様の事例でよく見かけます。

スポーツの習い事で、親の技術的要求が高いときに出る子供の足の痛み。いやな授業で出る頭痛(保健室にいける)など。

施術で、自律神経(脳)が入れている緊張を解くうえでヒアリングは大切になります。

「ストレスありませんでしたか?」

と、ヒアリングしてもなかなか出てこないのですが、上記事例を説明すると、ヒアリングがスムーズに進みやすくなったりします。

心的な影響以外では、

  • 事故
  • 怪我
  • 手術
  • 物理的刺激の影響

なども、自律神経的に緊張のかかりっぱなし状態が発生しやすいので、時系列の施術ポイントとしてヒアリングします。

上記事例の【急に出た 腰の強い痛み 40代女性】のように、原因であるストレスが現在進行形で強い内容であれば、整体施術の範疇外となり、そのストレス自体の解決を待つ必要があります。

しかし、同じ状況下でも不調として出ない方もおられます。

その差は何なのか?

  • からだの許容範囲の差
  • ストレスに対する受け止め方の差
  • 性格の差

と、考えています。

不定愁訴系の不調で来られたお客様が、施術を経て溜まった緊張が減っていき、不調はそれに比例して改善しますが、お客様から「前ほど悩まなくなったの。これも整体の効果?」の様なお言葉をいただくことが何度かありました。

「前であれば、いやなこと思い出すとしばらく引きずってたけど」

これは、整体で緊張が減り、からだの許容範囲に対して余裕ができたことで、『 思考の仕方にも変化が起きた 』ものと考えています。

整体で緊張が減ると身体の許容範囲に対し余裕ができてくる

心にも余裕ができてくる。

同じストレスを受けても、それに対する受け止め方(思考)に変化が起きれば、その影響も変わってきます。

あと、何がストレスになっているのか?をきっちり把握できるようになれば、自分自身で気を付けるという行動につながり、不調を自分で減らすことも可能になるでしょう。

上記、リエゾン療法・認知行動療法での『 ストレス日記 』は医師レベルの指導者とともに行う必要がありますが、

『 痛み日記 』 『 こり日記 』 の様な、不調の強さと心の記録をつけるだけでも、自分にとってストレスなっているのは何か?など把握できる可能性があると考えています。

何の作業の時に不調が強まっているか?その時どのような心理状態だったか?

たとえば、

同じ姿勢でPC作業をしていても、プライベートでのネットショッピングの時の肩のこり方と、仕事の月末月初の締め作業の時の肩のこり方は違っていることに気づくと思います。

ストレス痛の改善と予防に何が良いか?

脳を休める

この一語に尽きると感じています。

そのために何をするか?

マインドフルネス

ストレスが脳にダメージを与える思考の仕方の一つに、『マインドワンダリング』があると最初に書きました。

その対策法も、同じくNHKスペシャルのキラーストレスという番組で紹介されていました。

それが、マインドフルネスです。

今現在に集中させることで、ストレスの再生産を止める手法で、日本の座禅や瞑想と似た手法です。

  1. カラダの力を抜き、背筋を伸ばして座る
  2. カラダと呼吸に意識を向け、その様子を感じる
  3. 自分の呼吸をただ感じる=お腹が膨らんで平らになって、胸がゆっくり上がったり下がったり、鼻を通る空気の冷たさや暖かさを感じる
  4. やがて様々な雑念が浮かんでくると思いますが、考えないようにします
  5. 今の瞬間のカラダや呼吸の感覚に意識を戻す

雑念には意識を持っていかずに呼吸など今の状態にだけ意識を合わせる。

これを10分から始めてみる

NHKのホームページに動画が貼ってありましたので、以下リンクもご参照ください。

マインドフルネスの効果

8週間のプログラムで、カラダの不調はおよそ35%、心の不調はおよそ40%軽減されることが研究で確認されています。

番組では、CT映像の確認で、海馬の委縮が5%増加していた。扁桃体は5%減少して過敏な反応が抑えられる方向に変化していた。と紹介されています。

幼いころに強いストレスにさらされた方の脳もマインドフルネスによって回復していくことが確認されています。

ぼーっとすることが大切

マインドフルネスが難しい方、やろうとおもったらかえって雑念がわいてしまう方も、『 ぼーっとする 』時間をつくることはできるのではないでしょうか?

奥村歩医師曰く、脳の中の情報の整理は、デフォルト・モード・ネットワークで行われているらしく、脳が働いていないと思うようなぼーっとした時にデフォルト・モード・ネットワークが働きだすので、ぼーっとすることが大切らしいです。

ぼんやりする時間が大切なのに、ぼんやりする時間をデジタル機器によって奪われているので、デジタル脳過労を生み出してしまっているらしいです。

デジタルデトックスも有効

屋外に出てデジタル機器を持ち込まずに自然に触れることが良い。

単調なリズム運動

屋外にでる時間が無い方は、単調なリズム運動が効果的らしいです。

足踏みとか単調なことに没頭すると、神経伝達物質のセロトニンが脳の疲労を取ってくれるらしいです。

脳を休めることの私見

AppleWatchを使っている方は、適当なタイミングで、『少し時間を取りましょう マインドフルネス』と出てくると思います。

Apple Watchのマインドフルネス機能
Apple Watchのマインドフルネス機能

欧米では、ストレス対策として、健康法として、マインドフルネスが浸透しているみたいです。

実際にやってみると、ちょっと仮眠を取ったくらいのスッキリした感覚になります。

しかし、10分間何も考えない、雑念を払うといっても、実際やってみると簡単ではないことがわかります。

他に脳を休める良い方法はないかなあ?

ありますよ。

脳を休める他の方法

磨き作業

70代女性。つらくなったら来られる常連様。

その時は、年末のご来院でした。「年始に向けた準備をしないといけないタイミングだけど、主人が集中治療室に入っていて、準備していいかどうかの判断ができない」状況らしいです。

ストレス痛が起きているのでは?と思いましたが、意外とすんなりお辛さは取れていきました。

「私、天井を磨くんよ」

「磨く範囲を決めて、そこをひたすら磨くん」

なるほど、無になりますよね。

ご自分で予防できていたので、いつも程度の不調の出方だったわけです。

編み物

70代女性。肩こりと腰痛がご来院のきっかけの常連様。

2か月に一度のメンテナンスで、ヒアリングでは「今日も調子いい」といわれることが増えてきた。

ご趣味が編み物と伺っているのに、実際こりが少ない。なんでだろう?

編み物は肩がこるイメージを勝手に持っていたのですが、編み物をされているときは無の状態になってられることがお話からわかりました。

当然、し過ぎるとよくありませんが、この方には脳を休める良い機会になっていたみたいです。

たき火・キャンプ

炎を見つめることに瞑想効果があることは知られています。

DVDも出されていて、ビジネスホテルに泊まった時にVODで見たことがありますが、ぼーっとながめられて癒し効果があると感じました。

キャンプとかで実際の炎のほうがよいとおもいますが。

釣り

特に、浮き釣りですね。

浮きの動きに対して、合わせのタイミングを図りますから、無の状態で集中できます。

ルアーとかでもよいかと思います。

楽器を弾く

楽器演奏は脳にいいという言葉はよく聞きます。

理論的な説明は私にはできないのですが、弾くことに集中できるので、マインドワンダリングを防ぐ効果があると考えています。

他にも良い方法があれば教えてください。

いやな事だけがストレスではない

達成感のある仕事が過労死をまねく

楽しく仕事しているときほど「疲労感なき疲労」が蓄積されやすく、休まずに仕事を続けることで疲労は脳と体を確実に蝕み、果てには過労死にいたらしめるのです

梶本 修身 医学博士(著)『すべての疲労は脳が原因』(集英社新書 2016年)

私も経験があるのですが、整体チェック法だけで緊張を減らしていく手法を開発していた頃は、それが面白くて、休みなしで整体を受けていました。

そしたら、ある日、窓などの明るい箇所を見ると、目にピンク色の滝のような流れが映ったのです。

「片目に何か流れている」

次の日、黒い塊が片目の下のほうに映っていました。

「血?!」

あわてて病院に行くと、目の血管が切れていたみたいで、影響のない箇所で安心したのですが、疲労がたまっていても疲労感を感じなくなる場合が人間にはあるわけです。

この記事を通じてストレスに対する理解は深まったと思いますが、ストレスを考えるとき、このような人間特有の特性も考慮しなければストレスを見落としてしまう場合があるので注意が必要です。

Author

岡山市・整体院 ほぐし庵

Address : 岡山市南区築港新町2丁目11-10

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