マッスルエナジーテクニックで安全に筋肉を緩める
ストレッチをしようとして、「いつもより伸びないなあ!?」ってことありますよね。
これは、脳が筋膜(筋肉)に理由があって制限をかけているので、いつもと違う時や慢性的な不調をかかえている時は、無理に伸ばさないほうが良いです。
このことを前提として、ストレッチを助ける一つの手法として、マッスルエナジーテクニック(MET)がありますのでこれを記事にしました。
普段のストレッチの時に思い出していただけると、ストレッチ効果を短時間でアップできる技術になっています。
マッスルエナジーテクニック(MET)とは
等尺性収縮運動(アイソメトリックス)で筋肉が緩む現象を使った療術テクニックです。
無理なく筋肉を緩めてからだを整えることを目的とした技術で、オステオパシーから生まれた技術と聞いております。
簡単に言えば、“緩めたい筋肉に等尺状態で負荷を加える” すると、カラダのメカニズムによりその筋肉自体が緩む方向に動き出すというものです。
私は、2007年ころカイロプラクティックを使っていたころに併用していたことがあり、ストレスがあまりかかわっていない筋肉のコリや痛みに効きやすいことを確認しております。
等尺性収縮運動(アイソメトリックス)で筋肉が緩む現象
例えば、下図のように関節を固定化した状態で筋肉に力を入れる運動を等尺性収縮運動(アイソメトリックス)といいます。
上図では、主に胸の筋肉(大胸筋)に等尺性収縮が起きます。
この等尺性収縮により、胸の筋肉が緩む現象が起きる。これを『 等尺性収縮後リラクゼーション 』と呼んでいます。
- 力はMAXの20%~30%程でよい
- 力を入れる時間は7秒~10秒
- 等尺性収縮後リラクゼーションは15秒~20秒続く
等尺性収縮後リラクゼーションのメカニズム解説図は、以下、DVDにあったものを引用しておきます。
レオン・チャイトー制作DVD マッスルエナジーテクニック より
見てもよくわからないですよね。
原理としては医療での裏付けが明確ではないという意見もあり、所説あるみたいです。
しかし、ゆるむ現象は実際に確認できることで、私としては、治療よりストレッチや体操でこの原理を応用したほうが安全と感じています。
相反抑制で反対側の拮抗筋も緩む
“緩めたい筋肉に等尺状態で負荷を加える” と先に書きましたが、反対側の拮抗筋(たとえば、上腕二頭筋 (屈筋) に対し上腕三頭筋 (伸筋) は拮抗筋になる)に収縮をかけても緩めたい筋肉側が緩む現象が起きます。(相反抑制)
相反抑制を使ってもよいのですが、直接負荷をかけた筋肉のほうが効果が出やすいみたいです。
マッスルエナジーテクニック(MET)をストレッチや体操に活用
太もも裏の筋肉を緩めてストレッチ
空手やバレーのストレッチで見かける蹴上角度を向上させるストレッチを例にあげます。
太ももの裏の筋肉(ハムストリングスス)が硬く足をまっすぐ伸ばしにくい状態です。
ここで、無理をせずにMETをかけて太もも裏の筋肉を自然に緩めます。
太ももの裏の筋肉(ハムストリングスス)に等尺性収縮をかける
力はMAXの20%~30%程でよいです。力を入れる時間は7秒~10秒。
これで、等尺性収縮後リラクゼーションが太ももの裏の筋肉に起きて、自然に伸びやすい状態になります。
ストレッチをかける
等尺性収縮後リラクゼーションは15秒~20秒続くので、そのあいだにストレッチをかけます。
最初より無理なく伸びていきます。
ストレッチをかけるときは息を吐きながらおこなってください。
肩甲骨まわりを緩めるストレッチ
このようなストレッチはよくやりますよね。
これを例に解説します。
肩から肩甲骨にかけて等尺性収縮をかける
右腕で左腕を押さえて、外方向(抵抗がかかる方向)に左腕に力を入れます。
力はMAXの20%~30%程でよいです。
力を入れる時間は7秒~10秒。
ストレッチをかける
等尺性収縮後リラクゼーションは15秒~20秒続くので、そのあいだにストレッチをかけます。
右腕で左腕を胸にひきつけストレッチをかけると、肩甲骨回り広背筋などが等尺性収縮後リラクゼーションの効果で伸びやすくなります。
ストレッチをかけるときは息を吐きながらおこなってください。
首の可動域を改善する
右を向きにくいとか、左を向きにくいとかの時もMETを思い出してください。
右に向きにくいことが確認できた
これは、左半身にある頭につながる筋肉群のなかに、硬くなっているこっている状態の筋肉があり、可動域を妨げていると考えられます。
左頬を押さえて頭を固定して等尺性収縮をかける
左頬を押さえて頭を固定して、頭を正面に向ける方向に力を入れます。
すると、左半身の頭につながる可動域を妨げている筋肉に対して、等尺性収縮がかかることになります。
力はMAXの20%~30%程、力を入れる時間は7秒~10秒。
痛みを感じるときは中止してください。
等尺性収縮後リラクゼーション効果で可動域が増えた
再度、息を吐きながら右向きの可動域を確認すると、等尺性収縮後リラクゼーション効果で、最初より可動域が増えていることを確認できると思います。
痛みを感じたときは相反抑制を使う
上記、”左頬を押さえて頭を固定して等尺性収縮をかける” のところで、痛みを感じるときは中止してくださいと書きましたが、拮抗筋に作用する相反抑制を使って目的の筋肉を緩めることができます。
反対の右頬を右手で押さえてMETをかけると、左半身の目的の筋肉が相反抑制の効果で緩んでいきます。
同様に右向きの可動域が増えます。
緩めたい筋肉に直接METをかけたほうが効果が高いのですが、改善には痛みを感じないことが大切なので、その場合はこのように相反抑制を使っていくのです。
体操でMETを意識するとストレッチ効果がアップする
タオルを使った体操とか、あまり興味ない方がおられるかもしれません。
しかし、METの効果を取り入れやすい体操となっております。
たとえば、タオルの両端をもって挙上します。
この時、METを意識してタオルを両手で引っ張るように力を入れると、上腕三頭筋から脇・広背筋などに収縮が起きると思います。
等尺性収縮になっているので、力加減や時間を意識することで、それらの筋肉が等尺収縮後リラクゼーションを起こします。
その状態から、体を横に曲げたりすると自然に筋肉が伸びやすくなり、ストレッチ効果が上がります。
力の入れ方で筋力維持の効果も期待できますからいいと思いますよ。
無理に伸ばさない痛みを感じない範囲で行うことの大切さ
無理に伸ばしたり痛みを感じながらストレッチをおこなうと、必ずからだの防御反応が起きます。
一旦伸びたりするのですが、後から、伸ばした箇所に脳が緊張をかけてくるのです。
坐骨神経痛で悪化されている方、五十肩で悪化されている方は、無理なストレッチや過剰な運動などで悪化されている場合があり、防御反応の原理が働いて悪化されていることが多いです。
今回のマッスルエナジーテクニック(MET)や下記リンクの操体法などを覚えていただいて、安全に自然にリセットするコツを覚えるとよいと思います。
ストレスが深くかかわった緊張ではいづれも効果が出ない場合がありますので、その場合は無理にストレッチかけたりせずに身体を休ませることが大切で、脳疲労の記事でこれらを説明していきます。
岡山市・整体院 ほぐし庵
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