コリや痛みにストレッチ?筋肉は縮めたほうがよい(操体法編)
腰痛持ちの方は、痛みを感じた時、「ヒヤッ」としますよね。
また来たかーーー。
そこで、慌てて痛い箇所を伸ばそうとしがちなのですが、最初の処置でその後の経過が変わってしまいます。
ポイントは伸ばすではなく、縮めることが大切です。
操体法というとても効果がある体操をこのコラムの中段に載せています。
筋肉を縮めて対処する理屈は、他の部位にも応用が利きます。
ストレッチで筋肉の緊張が高まる場合がある
からだに緊張が溜まってくると、からだは硬くなり、コリや痛みなど不調につながる場合があることがわかっています。
病院で異常がないのに痛みを感るとは、からだに溜まった緊張が許容範囲を超えて、脳が痛みを発している状態です。
そして、緊張とは、自律神経の仕組み(脳)が入れているもの。
脳が筋肉を縮めたくて硬くしている箇所を伸ばすと、一時的には楽になった感覚を得る場合があります。
しかし、脳は、伸ばされた箇所により強い緊張を入れてくる特性があるのです。
つまり、悪化する方向に緊張が高まってしまうのです。
ストレッチが悪いのではないタイミングに注意
健康法として、ストレッチは意味があるものと考えています。
ただ、からだの状態によっては、ストレッチをかけないほうが良いタイミングがあるということです。
こりや痛みが出ている状態はまさにその状態なのです。
ストレッチは健康法であって改善法ではない。
であれば、ストレッチをかけてはいけないタイミングを常に把握できればいいですよね。
下記記事リンクをご参考にしてください。
筋肉を縮めて緩める
自律神経の仕組み(脳)が筋膜(筋肉)に緊張を入れている状態とは、その箇所を縮めようとしているわけです。
であれば、意図的にその箇所をさらに縮めてやるとどうなるか?
「緊張を入れる必要が無い」と脳が錯覚して、緊張を解放してくれる場合があるのです。
※注意 緊張に関わっているストレスの種類によっては変化が無い場合があります。
冒頭のように痛みを感じた時に最初に行っていただきたいのは、伸ばすことではなく縮めることなのです。
筋肉を縮める手法として、私は、仙台の医師 橋本敬三先生があみだした『操体法』の動きを参考にしています。
『痛くないほうの動きをやるだけで、反対の痛いほうの動きが改善される』
腰痛でよく使われる操法 – 操体法から引用
橋本敬三 著 万病を治せる妙療法 操体法より
たとえば、上図のように前屈と後屈で調整する事例では、ゆっくり前屈と後屈を試して、
- 前屈が痛くて後屈が痛くない場合:後屈をゆっくり5~6回繰り返す
- 前屈が痛くなくて後屈が痛い場合:前屈をゆっくり5~6回繰り返す
つまり、痛くないほうを5~6回繰り返して、その後、痛かったほうを試す。
すると、痛かったほうの痛みが減っている場合があるのです。
痛くない方向にからだを動かすことで、痛いほうの筋肉が効果的に縮んで緩んでいくのです。
もし、前屈も後屈も痛い場合は、どちらも繰り返さずに次を試します。
橋本敬三 著 万病を治せる妙療法 操体法より
ストレスが現在進行形でかかわっている腰痛はこれらの操法では痛みが変化しない場合がありますが、セルフメンテナンスとして優れているので、まず、痛みを感じたりコリを感じた時はこれを試していただきたいと思います。
他部位への応用
寝違え
寝違えのような首肩の痛みににも応用ができます。
つい痛い箇所を伸ばす方向にストレッチをかけがちですが、それは悪化するので絶対にNGです。
からだ全体のバランスを整えるイメージで①②をおこない、次に頭を上下左右など痛くない方向を探して、その動きを同様に繰り返します。
加えて、肩をすくめる方向に肩関節を上げてやるのもいいです。
僧帽筋など肩の筋肉に力が入らないほうが良いので、机などに両手を着いて両肩がすくんだ状態をつくるとよいです。その状態で、頭を痛くない方向に動かしても良いでしょう。
ふくらはぎのつり
ふくらはぎのつりは、疾患が原因でない場合は自律神経の混乱で起きているといわれています。
つった時は痛くて、伸ばそうとしたら強さが増すので無理に伸ばす方は少ないと思います。
つってないほうの足で足先が伸びるように押さえて(ふくらはぎの筋肉が縮む)、痛い箇所に手のひらを当てて、筋肉の繊維と直角にゆっくり動かします。
もし、動かせないときは、手のひらを当てるだけでも自律神経の混乱を鎮める効果で和らぎやすくなります。
操体法で改善が見られない場合
筋肉を縮めても改善しない場合。
- 緊張のかかり方が複雑になっている
- 現在進行形のストレスが大きくかかわっている
- 既に入れた刺激に対する防御反応がかかっている
ことが考えられます。
その場合、施術で一つ一つ緊張のあやを紐解いていくほうが早く解決します。
筋肉を縮める手法の実際
私は2006年に整体院を開業しました。最初に使っていた技術は、背骨を指先でなぞって、骨のズレ(左右差)を見つけてアジャスト系の矯正技術で整えていくというものです。
痛みが変化しないケースもありましたが、その場で消えるケースもあり、からだに圧力を加える手技なので、お客様にはわかりやすく、変化があった方にはリピートをいただいていました。
痛みと骨のズレに相関はない
骨がズレているから神経圧迫をおこしているという考え方でしたが、実際には、ズレと判断した箇所が、思うように揃わないのが実際でした。
しかし、骨のズレは変化していなくても、痛みなど不調は消えたりするのです。
今は、その理由はわかっているのですが、当時は、痛みと骨のズレに相関がないにもかかわらずズレにアプローチしていることに意味のなさを感じて、他の手技へ興味が向くことになりました。
その場で消えなかった痛みが操体法で消えた
一通り技をかけて残ってしまった痛みに対して、本で学んだ操体法の操法をかけてみたことがありました。
すると簡単に痛みが抜けたのです。
当時、痛みが残ったお客様の半分くらいは操体法で仕上げができたと記憶しています。
筋肉を縮める方向に動かすだけで消える痛みがあること実体験したことになります。
ベースとなる手技を何にするか?操体法?
ゆらゆら揺らす手技は効果的に筋肉を縮めている
手技に悩んでいたこの頃、気になっていた院で整体を受けたことがきっかけで、バランス活性療法を習うこととなりました。2006年の秋のことです。
『 骨のズレは周りの筋肉が起こしている 』という考え方で、骨にはアプローチしないゆらゆら揺らす手法です
開業しながら習いに行っていたのですが、ある日、
「股関節が痛くて足を地につけない」と、常連様が来られました。
今までの技では変化がまったくありませんでした。
焦る中、研修中ではありましたが、バランス活性療法の股関節ローリングという技をかけると、うそのように痛みがなくなったのです。
数週間後、股関節の痛みは少し出てきて再施術したのですが、効果の差は明確でした。
なぜ揺らして痛みが抜ける場合があるのか?
揺らすという技術は、今回テーマにしている『筋肉を縮める』という操作を効果的におこなえているのだと私の中で解釈しています。
バランス活性療法を習得してからは、操体法を使うことはなくなりました。
しかし、セルフメンテナンスとしてとても効果的で安全なので、ここに記事としてまとめました。
ご参考:今使っている技術
揺らす手技は、当時、何種類かありました。その中で、施術実績ではバランス活性療法が抜きんでていると感じていました。
理由は、ゆらす手技だけでなく、チェック法に基づいた『仙椎の調整』という自律神経に直接働きかける手法が完成されていたからと解釈しています。
今の私は、ゆらす手技は使っておりません。
バランス活性療法のチェック法を応用させて、『仙椎の調整』ではなく、からだに溜まった緊張に直接アプローチしていく施術体系で全身を整えております。
施術体系については私自身が開発したもので、『緊張が溜まる』=『緊張が層になっている』という時系列の概念で、一つ一つあやを取りながらお身体を元の状態に戻していきます。
2009年に原型を完成させ、その後も進化を続けて、病院で異常ない不調全般で受け付けております。
療術に詳しい方から、「REN空術という手法と同じか?」と質問をいただくことがありますが、全く違う施術体系になっております。
岡山市・整体院 ほぐし庵
Address : 岡山市南区築港新町2丁目11-10